ローランド ディー.ジー. が、タイ工場を増床

生産能力を4割増強し、量産機能を移管

業務用インクジェットプリンターや3次元ものづくりツールを製造・販売するローランド ディー.ジー.株式会社は、製造子会社Roland Digital Group (Thailand) Ltd.(タイ王国・サムットサコーン県)が管轄するタイ工場に関しまして、増床工事契約を締結し、着工しましたのでお知らせします。

中央敷地内の右側の棟が今回の増床部分

この度の増床は、2021年2月12日に発表した中期経営計画(2021年度~2023年度)の基本方針の一つである、「筋肉質な企業体質への変革」を受けたものです。当社の国内工場である都田事業所(浜松市北区)の量産機能をタイ工場へ完全に移管することで、製品原価の低減を推進するとともに価格競争力の向上を図ります。
一方、当社は、同中期経営計画の基本方針として「事業ポートフォリオの転換」を掲げ、市場のさらなる成長が期待される新興国市場向け製品の開発を進めております。増床されたタイ工場は、これら新興国市場向け製品の生産の受け皿となることも企図しております。

タイ工場は、2012年10月に稼働を開始した当社初の海外工場です。オペレーターの作業をデジタル技術でバックアップする当社独自のセル生産方式、「デジタル屋台*」の強みを最大限に活用することで、日本生産の場合と同様、高品質な製品を安定的に供給できる体制を構築するとともに、主要部品以外の部品類の現地調達を推進し、都田事業所に依存しない自律的な生産体制を整えております。生産量の拡大に合わせ、2014年に1度目の増床を行い、今回は2度目となります。

増床および増床後のレイアウト変更により、工場全体の延床面積は、現在の6,907m2から9,960m2となり、生産エリアは従来比約40%増の7,162m2となります。現在都田事業所で生産しているインクジェットプリンター、デンタル加工機などの量産品の生産を移管することで、生産機種数は現在の16機種から32機種に、生産能力は、業務用大型インクジェットプリンター換算で従来比約40%増の17,000台となる予定です。生産エリアのレイアウトを変更することにより、部品の入荷から保管、ピッキング、生産、出荷のスムーズな導線が確保され、業務効率の向上にも寄与します。増床工事は、11月末に終了する予定で、増床部分を含む工場全体の本格稼働は2022年1月を予定しております。

都田事業所は、2022年以降、試作品などの生産や、新製品の生産の立ち上げ支援、先進的な生産技術の開発などの役割を担うマザー工場としての機能に特化します。移管後の生産エリアは、BCP(事業継続計画)の観点から、一定の生産機能を維持するものの、倉庫機能の集約、オフィス機能への転用を進める予定です。
また、「デジタル屋台」は、ものづくりの変革を志向する中小製造業者を中心に、多品種少量生産を支える仕組みとして幅広いニーズが見込まれ、ものづくりにおけるデジタルソリューションを提供する事業を構築・推進すべく準備を進めております。

タイ工場の増床に関する概要

2012年10月稼働開始時2014年増床時2021年増床時
生産エリアの延床面積2,600m22,408m2
(累計5,008m2
2,154m2
(累計7,162m2
建築構造鉄骨造1階建て(事務所部分は2階建て)鉄骨造1階建て鉄骨造1建て(食堂部分は2階建て)
生産能力6,000台(大型インクジェットプリンター換算)12,000台(大型インクジェットプリンター換算)17,000台(大型インクジェットプリンター換算)
生産機種2機種(大型インクジェットプリンター)5機種(大型インクジェットプリンター、カッティングマシン)32機種(大型インクジェットプリンター、カッティングマシン、デンタル加工機など)
従業員数53名(内オペレーター21名)108名(内オペレーター61名)230名(計画)(内オペレーター110名(計画))
投資金額200百万タイバーツ(土地を含む)70百万タイバーツ75百万タイバーツ(約250百万円)

タイ子会社の概要

会社名Roland Digital Group (Thailand) Ltd.
所在地30/122 Moo 1, Sinsakhon Industrial Estate, Tambol Khok Kham, Ampur Muang, Samutsakhon 74000, Thailand
事業内容業務用大型インクジェットプリンター、カッティングマシンなどの製造
資本金2億10百万タイバーツ
従業員数212名(2021年5月末現在、内オペレーター102名)

* デジタル屋台:
当社の製品は、当社が独自開発した「デジタル屋台」で組み立てられています。オペレーターは、パソコンのディスプレイに表示された3Dグラフィックマニュアルを確認しながら、工程ごとに必要な部品を小物部品ストッカーから取り出し、グラフィックマニュアルが指示する電気ドライバーを使って製品を組み立てていきます。間違った部品やドライバーを使用することがないよう工夫されているだけでなく、各工程で品質検査を実施することで、工程内で品質を作り込んでいます。デジタル技術を活用することで人間の記憶力や注意力をサポートし、高い品質と生産性を同時に達成していることが特長です。各屋台での作業ログデータはサーバ上に保存され、現場管理者が作業進捗を把握したり、データ解析を通じて改善活動につなげたりすることができるようになっており、個別の屋台の管理だけでなく、工場全体の生産を最適にコントロールできる点も大きな特長です。
当社は、2001年より、一人のオペレーターが一つの製品を最初から最後まで組み立てる一人一台生産方式を採用していましたが、2012年に開設したタイ工場稼働時から、より高い生産性を追求するため、複数のデジタル屋台を組み合わせ、複数名で一つの製品を組み立てるセルライン生産方式を導入しています。各製品に共通するユニットを専門で組み立てるモジュール生産方式も並行して導入し、最初から最後まで組み立てる一人一台生産方式に比べ、短期間のうちにモジュールの組み立てや各工程での作業に習熟することができるというメリットがあります。都田事業所では、デジタル屋台で使用する小物部品ストッカーにネジなどを供給するロボットを導入したり、組立に必要なパーツ類を搭載したカートの自動搬送実験を進めたりするなど、工場全体のデジタル化に向けた取り組みを推進する一方、さらなる生産性の向上を追求し、継続的な原価低減活動や納入リードタイムの低減、仕掛在庫の削減に取り組んでいます。

報道関係の方のお問い合わせ先ローランド ディー.ジー.株式会社
広報CSRユニット
〒431-2103 静岡県浜松市北区新都田1-6-4  TEL:053-424-6055
E-Mail:rdg-pr@rolanddg.co.jp